神経回路網をつくろうとする研究は、いまや巨大な領域に広がっているが、物理学者の模型はその領域の中で魅力的な一郭を構えている。本書は固体物理学者ホップフィールドの考案したモデルとその発展を中心に、物理学者を自認する著者が神経回路網を解説した異色の書である。まず基本的考えを模型として具体化し、次に数式によって体系化するという物理学における伝統的アプローチに沿った議論が展開される。特に、統計力学に基づく神経回路網の能力評価についての詳しい説明は、他に類を見ない。